2026年の特定技能制度は何が変わった?19分野化と育成就労を解説
2026年1月23日、政府は特定技能制度と育成就労制度に関する分野別運用方針を閣議決定しました。今回の決定で押さえるべきポイントは、特定技能の対象分野が19分野に拡大したこと、そして2027年4月1日から始まる育成就労制度と特定技能制度が一体的に運用される方向が明確になったことです。
外国人材の採用を検討している企業にとって、これは単なる対象業種の追加ではありません。技能実習から育成就労へ、そして特定技能へとつながる新しい人材確保の流れが本格的に始まることを意味します。
本記事は、2026年5月2日時点で公表されている出入国在留管理庁などの情報をもとに作成しています。制度内容は今後も更新される可能性があるため、実際の申請前には必ず最新の公式情報を確認してください。
この記事のポイント
- 特定技能1号の対象分野は19分野に拡大
- 2026年にリネンサプライ、物流倉庫、資源循環の3分野が追加
- 育成就労制度は2027年4月1日開始予定
- 育成就労は特定技能1号への移行を前提とした制度
- 受入れ見込数は特定技能80万5,700人、育成就労42万6,200人
特定技能は19分野へ拡大
特定技能は、人手不足が深刻な産業分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。
2024年3月の閣議決定では、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業が追加され、対象分野は12分野から16分野へ拡大しました。さらに2026年1月23日の閣議決定で、次の3分野が追加されました。
- リネンサプライ
- 物流倉庫
- 資源循環
これにより、特定技能1号の対象は19分野となりました。これまで特定技能の対象外だったリネン供給、倉庫作業、廃棄物処理・リサイクル関連の事業者にとっては、外国人材活用の選択肢が広がることになります。
ただし、閣議決定されたからといって、すべての分野で直ちに採用できるわけではありません。新たに追加された分野では、分野ごとの省令、告示、運用要領、協議会、試験制度などの整備を確認する必要があります。
特定技能19分野と育成就労17分野の比較
特定技能と育成就労は接続して運用されますが、対象分野は完全には一致しません。特定技能19分野のうち、育成就労の対象外とされているのは航空分野と自動車運送業分野です。
| 分野 | 特定技能1号 | 育成就労 |
|---|---|---|
| 介護 | 対象 | 対象 |
| ビルクリーニング | 対象 | 対象 |
| リネンサプライ | 対象 | 対象 |
| 工業製品製造業 | 対象 | 対象 |
| 建設 | 対象 | 対象 |
| 造船・船用工業 | 対象 | 対象 |
| 自動車整備 | 対象 | 対象 |
| 航空 | 対象 | 対象外 |
| 宿泊 | 対象 | 対象 |
| 自動車運送業 | 対象 | 対象外 |
| 鉄道 | 対象 | 対象 |
| 物流倉庫 | 対象 | 対象 |
| 農業 | 対象 | 対象 |
| 漁業 | 対象 | 対象 |
| 飲食料品製造業 | 対象 | 対象 |
| 外食業 | 対象 | 対象 |
| 林業 | 対象 | 対象 |
| 木材産業 | 対象 | 対象 |
| 資源循環 | 対象 | 対象 |
育成就労制度は2027年4月1日から開始予定
育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消して創設される新制度です。従来の技能実習制度は「人材育成を通じた国際貢献」を目的としていましたが、育成就労制度では「人材育成」と「人材確保」が制度目的として明確になります。
育成就労は、原則3年間の就労を通じて、特定技能1号水準の技能を持つ人材を育成する制度です。つまり、育成就労は特定技能への移行を前提にした制度設計です。
特定技能は19分野ですが、育成就労の対象はそのうち17分野です。航空分野と自動車運送業分野は、育成就労の対象外とされています。
受入れ見込数は合計123万1,900人
2026年1月23日の閣議決定では、2029年3月末までの受入れ見込数も示されました。
| 制度 | 受入れ見込数 |
|---|---|
| 特定技能 | 80万5,700人 |
| 育成就労 | 42万6,200人 |
| 合計 | 123万1,900人 |
ここで注意したいのは、この数字が「追加で受け入れる人数」ではなく、制度上の受入れ見込数として設定されている点です。特定技能では、受入れ見込数が事実上の上限として運用されます。実際に外食業分野では、受入れ上限に近づいたことを理由に、2026年4月から新規申請の一部停止措置が取られています。
今後、人気分野や人手不足が特に強い分野では、試験日程、申請時期、受入れ見込数の管理がより重要になります。
企業が準備すべきこと
企業がまず確認すべきことは、自社の業務が対象分野と業務区分に該当するかどうかです。特定技能は分野ごとに従事できる業務が定められており、対象外の業務だけに従事させることはできません。
次に、分野別協議会への加入、上乗せ基準、直接雇用の要否、許認可、支援体制を確認する必要があります。育成就労を活用する場合は、育成就労計画、日本語教育、監理支援機関との関係、本人意向による転籍への対応も実務上の論点になります。
特定技能・育成就労は、単に外国人を採用する制度ではありません。採用後の支援、育成、定着、更新管理まで含めて運用する制度です。制度変更が進む2026年から2027年にかけては、採用計画と管理体制を早めに見直すことが重要です。
あわせて確認したい関連記事
まとめ
2026年の特定技能制度の大きな変化は、対象分野が19分野に拡大したことと、育成就労制度との接続が本格化することです。
新たに追加されたリネンサプライ、物流倉庫、資源循環の3分野では、今後の制度整備に合わせて採用準備が進む見込みです。一方で、受入れ見込数が上限として運用される以上、採用したいときに必ず採用できるとは限りません。
外国人材の活用を検討する企業は、制度の開始を待つのではなく、自社業務の該当性、支援体制、協議会加入、申請スケジュールを今から確認しておくべきです。
特定技能・育成就労の受入れ準備でお困りですか?
TokuVisaでは、在留資格の期限管理、支援記録、定期届出、書類管理を一元化できます。制度変更に合わせて受入れ体制を整えたい方は、お問い合わせからご相談ください。
出典
- 出入国在留管理庁「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針等について」
https://www.moj.go.jp/isa/03_00170.html - 出入国在留管理庁「育成就労制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針」
https://www.moj.go.jp/isa/03_00169.html - 出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」
https://www.moj.go.jp/isa/03_00163.html - 出入国在留管理庁「特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/2024.03.29.kakugikettei.html


