リネンサプライ・物流倉庫・資源循環が特定技能に追加。新3分野の準備ポイント
2026年1月23日の閣議決定により、特定技能制度の対象分野に「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が追加されました。これにより、特定技能1号の対象は19分野に拡大しました。
新3分野はいずれも、2027年4月1日から開始予定の育成就労制度の対象にも含まれています。ただし、分野ごとに制度整備の進み方が異なるため、企業は「追加されたからすぐ採用できる」と考えるのではなく、告示、運用要領、協議会、試験制度の最新状況を確認する必要があります。
本記事は、2026年5月2日時点で公表されている出入国在留管理庁、厚生労働省、国土交通省、環境省などの情報をもとに作成しています。新3分野は制度整備中の内容も多いため、採用準備の際は必ず最新の公式情報を確認してください。
この記事のポイント
- 2026年1月23日の閣議決定で新3分野が追加
- 追加分野はリネンサプライ、物流倉庫、資源循環
- 3分野はいずれも特定技能1号と育成就労の対象
- 分野ごとに制度整備の進捗が異なる
- 企業は対象業務、直接雇用、協議会加入、上乗せ基準を確認すべき
新3分野の概要
2026年5月2日時点の主な状況は次のとおりです。
| 分野 | 所管 | 特定技能1号 受入見込数 | 育成就労 受入見込数 | 準備状況 |
|---|---|---|---|---|
| リネンサプライ | 厚生労働省 | 4,300人 | 3,400人 | 告示公布済み、協議会開催済み |
| 物流倉庫 | 国土交通省 | 11,400人 | 6,900人 | 上乗せ基準告示案のパブリックコメント中 |
| 資源循環 | 環境省 | 900人 | 3,600人 | 特定技能告示案のパブリックコメント実施済み |
受入れ見込数は、分野ごとの人手不足状況や制度設計に基づいて設定されています。特定技能では、この受入れ見込数が上限として運用される点にも注意が必要です。
3分野の対象業務イメージ
各分野で対象となる業務は異なります。採用準備の初期段階では、自社の業務が主たる対象業務に該当するかを確認することが重要です。
| 分野 | 主な対象業務 | 関連業務の例 |
|---|---|---|
| リネンサプライ | リネン類の入荷、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、検品、出荷準備 | 資材運搬、清掃など |
| 物流倉庫 | 倉庫内での貨物の入出庫、保管、倉庫内各種作業 | 作業場所の整理整頓、連絡・報告、災害時の貨物移動など |
| 資源循環 | 廃棄物処分業の中間処理業務 | 破砕、焼却、設備操作、処理工程に付随する作業など |
関連業務に従事できる場合でも、関連業務だけを任せる運用は避ける必要があります。雇用契約や職務記述書を作る際は、主たる対象業務と関連業務を分けて整理しましょう。
リネンサプライ分野
リネンサプライ分野は、厚生労働省が所管します。対象業務は、リネン類の入荷から出荷までの一連の業務です。具体的には、入荷、仕分け、洗濯、脱水、乾燥、仕上げ投入、検品、結束、出荷準備などが想定されています。
受入れ機関には、直接雇用を前提とした受入れが求められます。また、業界団体が定めた衛生基準の認定を受けた施設であること、厚生労働省が設置する協議会の構成員になることなどが必要です。
2026年4月7日には、第1回リネンサプライ分野特定技能協議会が開催されました。新3分野の中では、制度整備が比較的先行している分野といえます。
物流倉庫分野
物流倉庫分野は、国土交通省が所管します。対象業務は、倉庫内で行われる貨物の入出庫、保管その他の倉庫内各種作業です。
受入れ機関として想定されているのは、倉庫業者、倉庫業者から委託を受けて倉庫作業を実施する者、一般貨物自動車運送事業者等です。
物流倉庫分野の特徴は、単に倉庫作業を行っているだけでなく、入庫管理、在庫管理、出庫管理などのシステムを利活用していることや、省力化・労働安全衛生向上に資する機器・システムを継続的に活用していることが求められる見込みである点です。
2026年4月8日から5月8日まで、国土交通省は物流倉庫分野の上乗せ基準告示案についてパブリックコメントを実施しています。物流企業は、公布後の基準を必ず確認する必要があります。
資源循環分野
資源循環分野は、環境省が所管します。対象業務区分は、廃棄物処分業、特に中間処理業務です。家庭や事業活動から排出される廃棄物について、減量化、減容化、安定化、安全化を行う業務が想定されています。
受入れ機関は、直接雇用を前提とし、環境大臣が設置する協議会の構成員となること、協議会や環境省の調査・指導に協力すること、実務経験証明書を交付することなどが求められる見込みです。
環境省は、協議会による書面確認や実地確認を通じて、受入れ希望機関の適正性を確認する方針を示しています。廃棄物処理は安全管理が特に重要な分野であるため、許認可、作業標準、安全教育、労災対策の整備が実務上のポイントになります。
企業が今から確認すべきこと
新3分野で特定技能の活用を検討する企業は、まず自社の業務が対象業務に該当するかを確認しましょう。対象業務に該当しない作業だけを特定技能外国人に任せることはできません。
次に、直接雇用の体制、協議会加入、上乗せ基準、許認可、支援体制を確認する必要があります。物流倉庫ではWMSなどのシステム活用状況、資源循環では安全管理と協議会による確認、リネンサプライでは衛生基準認定施設かどうかが重要です。
また、育成就労制度の開始も見据える必要があります。育成就労は2027年4月1日開始予定で、原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成する制度です。新3分野では、育成就労から特定技能への移行も視野に入れた採用・育成計画が必要になります。
分野別の準備チェックリスト
| 分野 | 企業が確認すべきこと |
|---|---|
| リネンサプライ | 衛生基準認定施設か、対象業務を整理できているか、協議会加入に対応できるか |
| 物流倉庫 | 倉庫業者等に該当するか、WMSなどの管理システムを活用しているか、省力化・安全衛生向上の取組を説明できるか |
| 資源循環 | 廃棄物処分業の中間処理に該当するか、許認可・安全教育・作業標準が整っているか、協議会の確認に対応できるか |
共通して確認すべき項目は次のとおりです。
- 直接雇用で受け入れられるか
- 対象業務と関連業務を分けて説明できるか
- 分野別協議会に加入できるか
- 分野ごとの上乗せ基準を満たせるか
- 外国人材への支援体制を整えられるか
- 日本語教育やキャリア形成支援を設計できるか
- 育成就労から特定技能への移行を見据えた計画を作れるか
あわせて確認したい関連記事
まとめ
リネンサプライ、物流倉庫、資源循環の3分野が追加されたことで、特定技能を活用できる業界はさらに広がりました。
一方で、新分野は制度整備の途中にあるものも多く、採用開始時期や具体的な要件は分野ごとに異なります。企業は、最新の告示、運用要領、協議会情報を確認しながら、自社業務の該当性、直接雇用体制、支援体制、書類管理体制を準備することが重要です。
制度開始を待ってから動くのではなく、今から準備できる企業ほど、初期の採用機会を逃しにくくなります。
新分野での特定技能受入れ準備を進めたい企業へ
TokuVisaでは、対象者情報、在留期限、支援記録、届出資料を一元管理できます。新分野での受入れ体制を早めに整えたい方は、お問い合わせからご相談ください。
出典
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html - 厚生労働省「リネンサプライ分野における新たな外国人材の受入れ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/linen_supply1.html - 厚生労働省「第1回リネンサプライ分野特定技能協議会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/linen_kyougikai_1.html - e-Gov「物流倉庫分野 上乗せ基準告示案 パブリックコメント」
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=155260917 - 環境省「資源循環分野における特定技能制度及び育成就労制度」
https://www.env.go.jp/recycle/waste/foreigner.html - e-Gov「資源循環分野 特定技能告示案 パブリックコメント」
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=195250092


